豚の丸焼きの作り方 注意:気の弱い方は見ないで下さい(笑)
2006年 09月 11日
「ぜひ、豚の丸焼きの作り方を見てみたい!」というと
「じゃあ、明日の朝4時半に起きてね」と言われた。・・・早くないか?
朝、目が覚めると5時半!焦って下に行くと、豚はまだ生きていた。
しかし、お祈りは終わってしまったようだ。
いくら食べるためとはいえ、簡単に殺すことはしない。食べるためにその命を貰うことにきちんと感謝をする。
豚は自分の運命を知ったのか、暴れ・泣き喚いたが大人3人に抑えられ、あっという間に喉を切られて事切れてしまった。
桜子さんいわく「今日の豚はあんまり騒がなかったね。」とのこと。
今回、この豚の丸焼きを作るために、わざわざその専門の人を呼んでいる。
それはまさしく職人芸だった。
まずは豚をお湯で洗いながら、ナイフできれいに毛を剃り上げていった。
(このおじさんなら、毛深い私もピカピカにしてくれそうだ!)
お腹を割く前に内臓の処理をきちんとして、肉に汚物が付かないように細心の注意をはらっている。
焼くまでの手順は下記の通りです。
1、お腹に付いている尿道(今回はオスらしい)を剥がし、肛門の周りに切り込みをいれ、肛門付近の内臓を体から剥がしておく。
お腹側にある尿道とお尻側にある膀胱が、体の中でつながったまま動くのを確認すると、一気に引き抜く。
2、血を抜くために切った喉の切り口から食道を見つけ、体内から剥がし、口につながる部分を切る。
3、仰向けにしてお腹を切り、内臓を取り出す。
(ここで内臓に傷が付くと汚物が出てしまい、肉を汚してしまうため用心深く切っていた)
4、お腹に水を入れ体内を洗い、豚のお尻の方を下にして、洗った水をお尻に開けた穴から流し出す。
5、竹の棒をお尻から刺し、口に通す。
6、お腹の中にカラマンシー(カボスに似た柑橘類)の絞り汁と塩、味の素を入れて、お腹を紐で縫って、元の姿により近い姿に戻す。
7、竹紐で前足は折り曲げて縛り、後足は竹の棒に伸ばして縛り付ける。
後は体全体に醤油を塗る。満遍なく火が通るように棒を回しながら、バナナの葉で作ったハケで豚の体全体に油を塗り付け、焼き上げる。
♪ま~わる~ ま~わる~よ せかい~は まわる~
ここで、地元のおじちゃんたちが「日本じゃ機械で回すだろうけど、ここじゃマンパワーだよ!わははっ」と笑って教えてくれた。
要は人力ということだ。
取り出した内臓は各部分ごとに分け、腸は上手に剥がして1本の紐状にする。
汚物を搾り出し、中に水を何度も通してきれいにする。
内蔵は一つも無駄にしない。捨てるところ無く、全て料理に使った。
おじさんの無駄の無い作業に感動した。腸の一つ一つまで優しく、ここまで大切に扱ってもらえば、豚も許してくれるだろう。
フィリピンの人々は無駄に殺すことはしない。殺す時は食べる時だ。そして殺した後は大切に食べる。
ぱっと見ると、酷い事をしているように見えるが、誰一人面白半分で生き物を殺すようなことはしない。
今の日本人に欠けている何かが、この国にはあるように思える。